本研究は、オンラインコミュニティにおけるキャラクター表現の変容を計量的に分析することを目的としている。具体的には、ハリー・ポッター作品を題材に、原典と2つのオンラインコミュニティ(ファンフィクションサイトとRedditのサブレディット)におけるキャラクターの表現の違いを検討した。
まず、キャラクターの登場頻度を比較したところ、オンラインコミュニティでは、原典と比べて、女性キャラクターや副次的キャラクターの存在感が相対的に高まっていることが明らかになった。
次に、キャラクター間の関係性を表すネットワーク指標を算出したところ、オンラインコミュニティでは、原典の主要キャラクターの中心性が低下し、一部の副次的キャラクターの中心性が高まる傾向が見られた。特に、ファンフィクションでは、キャラクター間の関係性が限定的な部分に集中する傾向が強かった。
最後に、キャラクターに対する意味的な連想の違いを分析したところ、オンラインコミュニティ間で大きな差異が見られた。例えば、ドラコ・マルフォイというキャラクターは、ファンフィクションでは、原典と比べて、「優しさ」や「美しさ」といった特性との関連が強まっていた。さらに、ファンフィクション内でも、ドラコの描写は、異性愛的な関係性と同性愛的な関係性で大きく異なっており、後者では、より「弱さ」や「従属性」といった特性との関連が強まっていた。
以上の結果から、オンラインコミュニティにおいては、同一のソース素材に基づきながらも、キャラクターの表現が大きく変容していることが明らかになった。これは、ナラティブの再構築が、コミュニティ間で大きく異なる可能性を示唆している。今後は、このような変容プロセスの背景にある要因(プラットフォームの特性、ユーザーの役割など)について、さらなる検討が必要だと考えられる。
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by Bianca N.Y. ... lúc arxiv.org 09-18-2024
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