本稿は、2 次の累乗タワー関数を用いた新しいスライディングモード制御則を提案する研究論文である。
論文情報: Ghanes, M., & Barbot, J.-P. (2024). A Power Tower Control: A New Sliding Mode Control. arXiv preprint arXiv:2405.14461v2.
研究目的: 従来の制御手法では、保証付き有限時間収束と有限時間収束の両方を単一の制御器で実現することが困難であった。本研究は、累乗タワー関数を用いることで、この課題を解決することを目的とする。
手法: 本稿では、2 次の累乗タワー関数の導関数の特性を利用し、バックステッピング制御に適用することで、保証付き有限時間収束と有限時間収束の両方を達成する新しい制御則を導出する。また、外乱が存在する場合の制御則についても検討し、外乱の有無や性質に応じて適切な制御則を選択できることを示す。
主要な結果: 提案する制御則は、外乱がない場合、保証付き有限時間収束を実現する。また、外乱が一定で有界な場合は積分項を追加することで、外乱があっても保証付き有限時間収束を実現できる。さらに、外乱が可変で有界な場合は、符号関数を用いることで有限時間収束を実現できる。
結論: 本稿で提案する累乗タワー関数を用いたスライディングモード制御則は、従来手法では困難であった保証付き有限時間収束と有限時間収束の両方を単一の制御器で実現できることを示した。
今後の研究: 今後の研究として、固定時間収束を含む収束時間の導出や、不一致な外乱問題への対応などが挙げられる。また、より高次元のシステムへの拡張や、オブザーバベースの制御系における挙動、ノイズやアクチュエータ飽和、サンプリングの影響下における挙動についても検討する必要がある。
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