本研究では、時系列データの表現学習における2つの主要な課題に取り組む。
時系列データに内在する雑音の影響を考慮しない既存手法の問題点に着目し、雑音に対する耐性を高める新しい学習戦略を提案する。具体的には、離散ウェーブレット変換を用いて時系列データを低周波成分と高周波成分(雑音)に分離し、両者の表現を整合的に学習するための損失関数を設計する。
時系列データの特性を効果的に捉えるための効率的かつ堅牢なエンコーダーアーキテクチャを提案する。Dilated Convolutionとインセプション概念を組み合わせることで、パラメータ数を抑えつつ広い受容野を持つ深層学習モデルを実現する。
提案手法であるCoInceptionは、時系列予測、時系列分類、異常検知の各タスクにおいて、既存手法を大幅に上回る性能を示す。特に、時系列分類タスクでは、既存手法の40%のパラメータ数で最高精度を達成する。さらに、雑音に対する耐性や表現の一貫性、効率性など、CoInceptionの優れた特性が分析結果から確認できる。
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