本論文では、地球磁気圏の長期観測を目的とした新しい軌道クラスである「太陽-地球調和軌道(SEHO)」を提案している。SEHOは、地球-月共鳴軌道を利用することで、高度楕円軌道でありながら、地球磁気圏の重要領域を通年にわたって観測できる特徴を持つ。
具体的には、月の重力アシストにより、軌道の近地点引数が地球の公転運動と同期するよう設計されている。これにより、SEHOは太陽に対して一定の角度を保ちながら、地球磁気圏の重要領域を通過することができる。従来の高度楕円軌道では、地球磁気圏の重要領域への到達が半年または四半期に限定されていたが、SEHOではこの制限を克服している。
本論文では、1:2、3:7、2:5の3つの最適なSEHO軌道を特定し、その特性を詳細に分析している。また、これらの軌道の安定性評価や、軌道維持のための月重力アシスト活用方法についても検討している。SEHOは、地球磁気圏の包括的な観測を可能にし、磁気リコネクションなどの重要な物理過程の理解を深化させることが期待される。
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