大学の科学実験室における探究型学習における学生のディスコース・グループ役割の特徴付け

Concepts de base

探究型の大学の科学実験室において、学生のディスコース・スタイルには4つのタイプがあり、それらは実験の設計や意思決定の必要性によって変化する。また、学生のディスコース・スタイルは同じグループ内で概ね一致する傾向がある。

Résumé

本研究は、大学の科学実験室における学生のディスコース・グループ役割を特徴付けることを目的としている。15人の学生の40の学生-実験単位のビデオ記録を分析し、ディスコース・ムーブ(質問の提示、アイデアの提案、議論への参加、オフタスクなおしゃべり、指導者との対話)を定量化した。クラスター分析の結果、4つのディスコース・スタイル(高タスク高社交、高タスク低社交、低タスク低社交、低タスク高社交)が特定された。

個々の学生は実験活動によって異なるディスコース・スタイルを示す傾向があり、同じグループ内の学生のスタイルは概ね一致していた。性別による差は見られなかったが、聴覚障害学生は聴覚健常学生に比べて、ディスコースへの参加が有意に低かった。

探究型の実験活動においては、意思決定の必要性が高い場合、学生はより積極的なディスコース・スタイルを示す。一方、単純な測定作業が中心の場合、消極的なスタイルが多く見られた。学生のディスコース・スタイルはグループメンバーと概ね一致するため、個人レベルではなくグループレベルでの介入が必要だと示唆される。

Stats

聴覚障害学生は聴覚健常学生に比べ、アイデアの提案(p=0.010)、議論への参加(p=0.042)、指導者との対話(p=0.003)の割合が有意に低かった。

Citations

なし

Idées clés tirées de

Characterizing Discourse Group Roles in Inquiry-based University Science Labs

by Tong Wan, Ju... à arxiv.org 10-01-2024

https://arxiv.org/pdf/2405.15746.pdf

Questions plus approfondies

探究型実験における学生のディスコース・スタイルの変化を促す要因はさらに検討する必要がある。

探究型実験における学生のディスコース・スタイルの変化を促す要因は多岐にわたります。まず、実験の設計が重要な役割を果たします。実験が学生に意思決定の機会を多く提供する場合、学生は「高いオンタスク・ハイソーシャル」や「高いオンタスク・ローソーシャル」といったディスコース・スタイルを示す傾向があります。逆に、繰り返しの測定が多い実験では、学生は「ローオンタスク・ローソーシャル」や「ローオンタスク・ハイソーシャル」といったスタイルに移行することが観察されました。このように、実験の内容や構造が学生のディスコース・スタイルに影響を与えるため、今後の研究では、具体的な実験設計の要素やその影響を詳細に分析することが求められます。また、グループ内の相互作用やメンバーのディスコース・スタイルの共有も、学生のディスコース・スタイルの変化に寄与する要因として考えられます。したがって、グループダイナミクスや協働学習の観点からも、さらなる検討が必要です。

聴覚障害学生のディスコース参加を促進するための具体的な支援方法を検討する必要がある。

聴覚障害（DHH）学生のディスコース参加を促進するためには、いくつかの具体的な支援方法が考えられます。まず、通訳者の配置や技術的支援を強化することが重要です。DHH学生が他の学生と効果的にコミュニケーションを取れるように、ASL（アメリカ手話）を使用する際の通訳者の存在は不可欠です。また、DHH学生が参加しやすい環境を整えるために、視覚的な情報や資料を提供することも有効です。さらに、グループ活動においてDHH学生が意見を述べやすくするために、事前にディスカッションのテーマや質問を共有し、準備を促すことも効果的です。これにより、DHH学生は自信を持って参加できるようになり、ディスコースの質が向上することが期待されます。最後に、グループ内での役割分担を明確にし、DHH学生が積極的に意見を述べる機会を設けることも重要です。

学生のディスコース・スタイルと学習成果の関係について調べることは興味深い。

学生のディスコース・スタイルと学習成果の関係を調査することは、教育研究において非常に興味深いテーマです。ディスコース・スタイルが学習成果に与える影響を理解することで、教育者はより効果的な指導法を開発できる可能性があります。例えば、「高いオンタスク・ハイソーシャル」スタイルを持つ学生は、質問を多くし、アイデアを提案し、ディスカッションに積極的に参加するため、より深い理解を得ることができると考えられます。一方で、「ローオンタスク・ローソーシャル」スタイルの学生は、学習成果が低下する可能性があります。このような観点から、ディスコース・スタイルが学習成果に与える影響を定量的に評価し、どのスタイルが最も効果的であるかを明らかにすることは、教育実践の改善に寄与するでしょう。さらに、特定のディスコース・スタイルを促進するための介入が学習成果にどのように影響するかを調査することも、今後の研究の重要な方向性となります。