Core Concepts
21q22遺伝子領域の変異がETS2遺伝子の発現を増強し、炎症性マクロファージの活性化を引き起こすことで、自己免疫疾患の発症に寄与する。
Abstract
本研究では、自己免疫疾患や炎症性疾患の発症に関連する21q22遺伝子領域の変異について、機能ゲノミクスアプローチを用いて詳細な解析を行った。
まず、この領域の変異が炎症性腸疾患、強直性脊椎炎、原発性硬化性胆管炎、高安動脈炎などの自己免疫疾患と関連することを示した。
次に、この領域の変異がETS2遺伝子の発現を増強し、炎症性マクロファージの活性化を引き起こすことを明らかにした。ETS2は炎症関連遺伝子の発現を制御する中心的な転写因子であり、ETS2の過剰発現はTNFやIL-23などの炎症性サイトカインの産生を促進した。
さらに、ETS2の標的遺伝子は自己免疫疾患のゲノムワイド関連解析(GWAS)で同定された遺伝子と高い重複が見られ、ETS2が自己免疫疾患の発症に中心的な役割を果たしていることが示唆された。
最後に、ETS2経路を標的とする既存の化合物ライブラリーから、強力な抗炎症活性を示す化合物を同定し、in vitroおよびex vivoの実験で有効性を検証した。
以上の結果から、機能ゲノミクスアプローチを用いることで、自己免疫疾患の発症機序の解明と新規治療薬の開発につながる可能性が示された。
Stats
自己免疫疾患のGWASで同定された遺伝子の多くがETS2の標的遺伝子である。
ETS2の過剰発現はTNFやIL-23などの炎症性サイトカインの産生を促進する。
Quotes
「21q22遺伝子領域の変異がETS2遺伝子の発現を増強し、炎症性マクロファージの活性化を引き起こすことで、自己免疫疾患の発症に寄与する」
「ETS2は炎症関連遺伝子の発現を制御する中心的な転写因子である」