Core Concepts
SEL-5/AAK1キナーゼは、その酵素活性とは独立して、C. elegansの神経細胞移動と排出細胞の突起伸長を制御する。
Abstract
本研究では、C. elegansの発生過程における細胞移動と細胞突起伸長の制御機構を解明することを目的としている。
主な発見点は以下の通りである:
SEL-5/AAK1キナーゼは、Wntシグナル伝達経路の制御を通じて、QL神経前駆細胞の移動を促進する。この機能は、SEL-5の酵素活性には依存しない。
SEL-5は、レトロマー複合体と協調して、排出細胞の突起伸長を制御する。この機能も、SEL-5の酵素活性には依存しない。
Wntシグナル伝達経路の構成因子であるLIN-44/Wnt、LIN-17/Frizzled、CWN-1/Wnt、CWN-2/Wntが、排出細胞の突起伸長を正負両方向に制御する。
DPY-23/AP2M1のT160位置のリン酸化は、神経細胞移動や排出細胞突起伸長の制御には必要ではない。
以上より、SEL-5/AAK1キナーゼは、その酵素活性とは独立した機能を持ち、Wntシグナル伝達経路の制御を通じて細胞移動と細胞突起伸長を調節することが明らかになった。
Stats
SEL-5欠損は、vps-29変異体における神経前駆細胞QL.dの移動異常を増強する。
SEL-5欠損は、排出細胞の後方突起の伸長を著しく阻害する。
DPY-23のT160位置のリン酸化レベルは、SEL-5欠損により減少する。
DPY-23のT160Aアミノ酸置換変異体では、神経前駆細胞移動や排出細胞突起伸長に異常は見られない。
Quotes
"SEL-5 kinase activity is not required for its role in either neuronal migration or excretory cell outgrowth and neither of these processes is dependent on DPY-23/AP2M1 phosphorylation."
"Wnt proteins CWN-1 and CWN-2 together with Frizzled receptor CFZ-2 positively regulate excretory canal outgrowth, while LIN-44/Wnt and LIN-17/Frizzled together generate a stop signal inhibiting its extension."