Core Concepts
家族性ALS患者由来の誘導多能性幹細胞から作製した筋肉神経接合部モデルを用いて、ALS変異に共通するシナプス機能障害メカニズムを明らかにした。
Abstract
本研究では、家族性ALS患者由来の誘導多能性幹細胞(iPSC)から筋肉と運動ニューロンを効率的に分化誘導し、それらを共培養することで、再現性の高い人工筋肉神経接合部モデルを開発した。このモデルを用いて、C9orf72 HRE、SOD1A5V、TDP43G298Sの3種類の家族性ALS変異が、筋肉神経接合部の形態的および機能的な障害を引き起こすことを明らかにした。特に、C9orf72 HRE変異とTDP43G298S変異では、GDNF投与によってシナプス機能が回復したが、SOD1A5V変異では回復しなかった。このことから、ALS治療においては患者の遺伝子型に応じた治療法の検討が重要であることが示唆された。本研究で開発した人工筋肉神経接合部モデルは、ALS以外の神経筋疾患の病態解明や新規治療法の探索にも活用できる有用なツールである。
Stats
C9orf72 HRE変異細胞では、コントロールと比べて約1.5倍シナプス数が減少した。
SOD1A5V変異細胞では、コントロールと比べて約2倍シナプス数が減少した。
TDP43G298S変異細胞では、コントロールと比べて約1.5倍シナプス数が減少した。
Quotes
"C9orf72 HRE変異細胞とTDP43G298S変異細胞では、GDNF投与によってシナプス機能が回復したが、SOD1A5V変異細胞では回復しなかった。"
"本研究で開発した人工筋肉神経接合部モデルは、ALS以外の神経筋疾患の病態解明や新規治療法の探索にも活用できる有用なツールである。"