Core Concepts
小児脳腫瘍であるAT/RT、MB、PLEXでは、腫瘍タイプ特異的なDNA メチル化パターンが見られ、これらのパターンが神経分化関連転写因子の結合を阻害し、腫瘍の悪性化に寄与していることが明らかになった。
Abstract
本研究では、AT/RT、MB、PLEXの507サンプルのDNA メチル化データと120サンプルの遺伝子発現データを統合的に解析し、腫瘍タイプ特異的なDNA メチル化パターンを明らかにした。
AT/RTでは、神経分化関連転写因子の結合サイトが高メチル化されており、これにより神経分化が抑制されていることが示された。一方、MBでは、多くの神経分化関連遺伝子が低メチル化され高発現していた。
AT/RTでは、特に多くの領域でPSC様のメチル化パターンを示し、神経分化が阻害されていることが明らかになった。また、AT/RT特異的な高メチル化領域にはPRC2サブユニットの結合サイトが enrichedされており、PRC2によるDNA メチル化制御が腫瘍の悪性化に寄与していると考えられた。
一方、MBでは、多くの領域でFB様のメチル化パターンを示し、神経分化が進行していることが示唆された。
以上の結果から、AT/RTとMBでは腫瘍タイプ特異的なDNA メチル化プログラムが存在し、これが腫瘍の発生と進展に深く関与していることが明らかになった。
Stats
AT/RTでは、神経分化関連遺伝子であるNEUROG1とNEUROD2の発現が低下し、これらの遺伝子領域のDNA メチル化が亢進していた。
MBでは、神経分化関連遺伝子NEUROG1とNEUROD2の発現が高く、これらの遺伝子領域のDNA メチル化が低下していた。
Quotes
「AT/RTでは、神経分化関連転写因子の結合サイトが高メチル化されており、これにより神経分化が抑制されている」
「AT/RTでは、特に多くの領域でPSC様のメチル化パターンを示し、神経分化が阻害されていることが明らかになった」
「AT/RT特異的な高メチル化領域にはPRC2サブユニットの結合サイトが enrichedされており、PRC2によるDNA メチル化制御が腫瘍の悪性化に寄与していると考えられた」