幼虫の睡眠-覚醒リズムの発達を調節する栄養状態の役割

Core Concepts

幼虫の栄養状態の変化が睡眠-覚醒リズムの発達を調節する。Dh44ニューロンのグルコース代謝遺伝子が睡眠-覚醒リズムの発達に必要である。

Abstract

本研究では、ショウジョウバエ幼虫の睡眠-覚醒リズムの発達に栄養状態が重要な役割を果たすことを明らかにした。
2齢幼虫(L2)では、睡眠と摂食が一日中散発的であるが、3齢幼虫(L3)では、睡眠と摂食が昼夜で分かれた日内リズムを示すようになる。この睡眠-覚醒リズムの発達は、長期記憶の形成にも重要である。
L3期の幼虫では、中枢時計ニューロン(DN1a)と覚醒出力ニューロン(Dh44)の間の神経回路が形成されることで、睡眠-覚醒リズムが発達する。しかし、この神経回路の形成は、栄養環境に依存しており、低栄養条件下ではDN1a-Dh44回路が形成されない。
さらに、Dh44ニューロンにおけるグルコース代謝遺伝子の発現が、睡眠-覚醒リズムの発達に必要であることが示された。つまり、Dh44ニューロンが栄養状態を感知し、それに応じて睡眠-覚醒リズムの発達を調節していると考えられる。
以上の結果から、発達過程にある生物の栄養状態の変化が、睡眠-覚醒リズムの発達を引き起こすことが明らかになった。

Stats

L3期の幼虫は、L2期と比べて昼間の摂食量が多い。
L3期の幼虫では、時計遺伝子tim欠損により、昼夜の摂食リズムが消失する。
低糖質食で飼育したL3期の幼虫では、昼夜の睡眠リズムが消失する。
Dh44ニューロンにおけるグルコース代謝遺伝子のノックダウンにより、L3期の幼虫で昼夜の睡眠リズムが消失する。

Quotes

"幼虫の栄養状態の変化が睡眠-覚醒リズムの発達を調節する。"
"Dh44ニューロンのグルコース代謝遺伝子が睡眠-覚醒リズムの発達に必要である。"

Key Insights Distilled From

Energetic Demands Regulate Sleep-Wake Rhythm Circuit Development

by Poe,A. R., Z... at www.biorxiv.org 09-22-2023

https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2023.09.19.558472v2

Deeper Inquiries

発達過程における他の生理的変化(例えば体組成の変化)が、睡眠-覚醒リズムの発達にどのように影響するか?

研究によると、発達過程における他の生理的変化、特に体組成の変化は睡眠-覚醒リズムの発達に重要な影響を与えることが示されています。例えば、幼虫が成長する過程で栄養摂取量や貯蔵容量が増加することで、特定の時間帯に睡眠と摂食が統合されるようになります。これらの変化は、睡眠と覚醒のリズムが日々のパターンとして組織化される過程を促進します。特に、グルコース代謝遺伝子を介してDh44ニューロンが栄養環境を感知し、睡眠-覚醒リズムの発達を調節していることが示されています。したがって、発達過程における体組成や栄養状態の変化は、睡眠-覚醒リズムの形成に重要な役割を果たしています。