Core Concepts
ミトコンドリア転写阻害剤(IMT)とBCL-2阻害剤(venetoclax)の併用療法は、急性骨髄性白血病の治療抵抗性細胞集団を標的とし、相乗的に細胞死を誘導する。
Abstract
本研究では、ミトコンドリア転写を阻害する新規化合物IMTがBCL-2阻害剤venetoclaxと相乗的に作用し、急性骨髄性白血病(AML)細胞の増殖を抑制し、アポトーシスを誘導することを示した。
in vitroの実験では、IMTとveneto claxの併用がAML細胞株の増殖を抑制し、アポトーシスを促進した。特に、野生型TP53を発現するAML細胞株で顕著な効果が見られた。一方、TP53変異株では高濃度の薬剤を必要とした。
IMTとveneto claxの併用はAML細胞のミトコンドリア機能を著しく阻害し、酸化的リン酸化(OXPHOS)を抑制した。一方、単剤では顕著な影響は見られなかった。
AML細胞株を移植したマウスモデルでは、IMTとveneto claxの併用療法が単剤に比べ、腫瘍増殖の抑制と生存期間の延長に効果的であった。特に、veneto clax耐性のAML-PDXモデルでは、併用療法の有効性が確認された。
以上の結果から、ミトコンドリア転写阻害とBCL-2阻害の併用療法は、治療抵抗性AML細胞を標的とする新しい治療アプローチとなる可能性が示された。
Stats
ミトコンドリア呼吸能(OCR)は、IMTとveneto claxの併用により、veneto clax感受性のAML細胞株(MV4-11、MOLM-13)で著しく低下した。一方、veneto clax耐性のTHP-1細胞株では影響がみられなかった。
Quotes
「ミトコンドリア転写を標的とする新規アプローチは、治療抵抗性白血病細胞を標的とする可能性がある」
「IMTとveneto claxの併用療法は、veneto clax耐性AMLモデルにおいて生存期間を有意に延長させた」