Core Concepts
成人マウスの造血では、数千の造血前駆細胞が寄与していることが明らかになった。この前駆細胞数は、胎児期から成体期にかけての限定的な増加を示し、骨髄抑制後の動的な変化にも反応することが示された。
Abstract
本研究では、造血前駆細胞数を定量する新しい手法を開発し、成人マウスの造血における前駆細胞の動態を明らかにした。
造血前駆細胞数の定量は、ランダムに誘導されたConfetti色素の分散度と前駆細胞数の逆相関関係に基づいて行われた。この関係式は二項分布に基づいて導出され、従来の経験的な相関式よりも広い範囲の前駆細胞数を測定できるようになった。
成人マウスの造血では、数千の前駆細胞が寄与していることが明らかになった。この数は、胎児期から成体期にかけて限定的な増加しか示さず、骨髄抑制後には動的に変化した。
ファンコニ貧血モデルマウスでは、移植時の前駆細胞数は正常であったが、高齢マウスでは前駆細胞数の減少が観察された。これは、ファンコニ貧血における造血不全の一因として、前駆細胞数の減少が関与することを示唆している。
本手法は、遺伝子改変マウスモデルにおける造血前駆細胞の動態を定量的に評価できるため、造血異常を伴う遺伝性疾患の病態解明に有用である。
Stats
成人マウスの骨髄造血前駆細胞数は約1900個である。
ファンコニ貧血モデルマウスの高齢時における末梢血B細胞前駆細胞数は、野生型マウスと比べて減少している。
Quotes
「成人マウスの造血では、数千の造血前駆細胞が寄与していることが明らかになった。」
「ファンコニ貧血モデルマウスでは、移植時の前駆細胞数は正常であったが、高齢マウスでは前駆細胞数の減少が観察された。」