Core Concepts
CAD96CAとFGFR1は昆虫幼若ホルモンの細胞膜受容体として機能し、幼若ホルモンシグナルを伝達する。
Abstract
本研究では、ワタアブラムシ(Helicoverpa armigera)を モデル生物として、受容体型チロシンキナーゼ(RTK)のCAD96CAとFGFR1が昆虫幼若ホルモンの細胞膜受容体として機能することを明らかにした。
主な結果は以下の通り:
20種類のRTKの中から、CAD96CAとFGFR1が幼若ホルモンIII(JH III)に高い親和性を持つことが示された。
CAD96CAとFGFR1のノックアウトやノックダウンにより、幼若ホルモン応答遺伝子の発現低下、カルシウムシグナルの減少、MET1とTaimanのリン酸化の抑制が観察された。
CAD96CAとFGFR1をヒト細胞HEK-293Tに過剰発現させると、JH IIIによる細胞内カルシウム濃度の上昇が誘導された。
CAD96CAとFGFR1のJH III結合領域の解析から、CAD96CAの51-151アミノ酸領域、FGFR1の101-301アミノ酸領域がJH III結合に重要であることが明らかになった。
以上の結果から、CAD96CAとFGFR1が昆虫幼若ホルモンの細胞膜受容体として機能し、幼若ホルモンシグナルを伝達することが示された。この知見は昆虫発生の理解を深め、新しい環境に優しい昆虫成長調整剤の開発につながる可能性がある。
Stats
JH IIIに対するCAD96CAの解離定数(Kd)は11.96 ± 1.61 nMであった。
JH IIIに対するFGFR1の解離定数(Kd)は23.61 ± 0.90 nMであった。
MET1-CopGFP-Hisのジュベニルホルモンに対する解離定数(Kd)は6.38 ± 1.41 nMであった。
Quotes
"CAD96CAとFGFR1は昆虫幼若ホルモンの細胞膜受容体として機能し、幼若ホルモンシグナルを伝達する。"
"CAD96CAの51-151アミノ酸領域、FGFR1の101-301アミノ酸領域がJH III結合に重要である。"