Core Concepts
量子近似最適化アルゴリズム(QAOA)と変分量子固有値ソルバー(VQE)を用いて、Majumdar-Ghosh スピンチェーンモデルの基底状態エネルギーと第一励起状態エネルギーを求め、Lieb-Schultz-Mattis定理の検証を行った。また、Max-cut問題の解決においてQAOAとVQEの性能比較を行った。
Abstract
本研究では、Majumdar-Ghosh (MG) スピンチェーンモデルの解析と、Max-cut問題の解決に対して、量子近似最適化アルゴリズム(QAOA)と変分量子固有値ソルバー(VQE)を適用した。
MG モデルについては以下の結果が得られた:
4スピンから15スピンまでのチェーンサイズについて、VQEとクラシカルな数値計算による基底状態エネルギーを比較した。VQEは小さなスピン数では良好な結果を示したが、スピン数が増えるにつれ、クラシカル結果からずれが大きくなった。これは、バレンプラトー問題によるものと考えられる。
VQDを用いて、基底状態と第一励起状態のエネルギー差を計算し、Lieb-Schultz-Mattis定理の検証を行った。スピン数が増えるにつれ、エネルギー差が減少する様子が確認できた。
雑音のある量子シミュレーションでは、VQEがQAOAよりも良好な収束性を示した。これは、QAOAのより深い量子回路が雑音の影響を受けやすいためと考えられる。
Max-cut問題については以下の結果が得られた:
17ノードのグラフに対して、VQEとQAOAの性能比較を行った。VQEの方が低い回路深さで良好な結果を得られることが分かった。これは、QAOAの回路深さが大きく、パラメータ数が少ないことが原因と考えられる。
最適化アルゴリズムの比較では、QNSPSA最適化器がQAOAの収束性を改善したが、VQEではSPSA最適化器の方が良好な結果を示した。最適化アルゴリズムの選択は問題とアンサツの組み合わせに依存することが分かった。
以上の結果から、VQEはQAOAよりも雑音に強く、より良好な結果が得られることが示された。一方で、QAOAはパラメータ数が少ないため、クラシカル最適化の計算コストが低くなる可能性がある。量子コンピューティングの発展に伴い、これらのアルゴリズムは量子多体系の解析や組合せ最適化問題の解決に有用となることが期待される。
Stats
4スピンチェーンの基底状態エネルギーは-4.1
8スピンチェーンの基底状態エネルギーは-7.62051
17ノードのMax-cut問題の最適解は19
Quotes
"VQEはQAOAよりも雑音に強く、より良好な結果が得られる"
"QAOAはパラメータ数が少ないため、クラシカル最適化の計算コストが低くなる可能性がある"
"量子コンピューティングの発展に伴い、これらのアルゴリズムは量子多体系の解析や組合せ最適化問題の解決に有用となることが期待される"