Core Concepts
本研究は、ブレード要素運動量理論に基づく高精度な空力モデル、モーターモデル、バッテリーモデルを組み合わせることで、マルチコプターの航続距離、飛行時間、最適飛行速度を正確に推定する手法を提案している。
Abstract
本研究は、マルチコプターの性能推定に関する包括的なアプローチを提案している。
ブレード要素運動量理論に基づく高精度な空力モデルを開発し、実験データとの比較により検証した。このモデルは、最大速度65 km/hまでの飛行データに対して、推力予測誤差0.91 N、消費電力予測誤差33 W (ピーク電力の2.7%)を達成した。
モーターの効率モデルを開発し、44種類のモーター-プロペラ組み合わせの実験データに基づいて検証した。推奨される組み合わせでは、最大効率が80-85%に達することが分かった。
リチウムポリマー電池のグレーボックスモデルを開発し、10種類の電池構成に対する2時間以上の実験データに基づいて検証した。このモデルは、非定常な放電パターンでも平均1.3%の誤差(43.1 mV)で電池電圧を予測できる。
上記3つのモデルを統合し、マルチコプターの航続距離、飛行時間、最適飛行速度を推定する手法を提案した。この手法は、6種類の市販ドローンに適用され、製造元の仕様とよく一致することが示された。
さらに、簡易な手計算アルゴリズムも開発し、物理パラメータ(質量、プロペラサイズ、バッテリー容量)から性能を推定できるようにした。
本研究は、マルチコプターの設計や運用計画、規制策定に役立つ包括的な性能推定手法を提供している。
Stats
小型ドローンの最大飛行時間は11分、最大航続距離は9.1 km、最適飛行速度は16.5 m/s
大型ドローンの最大飛行時間は7分、最大航続距離は3.9 km、最適飛行速度は11.0 m/s