Core Concepts
強化学習を用いて、肋骨による音響シャドウを最小限に抑えつつ、関心領域を完全に覆うようなロボット超音波スキャニングの経路を自動的に生成する。
Abstract
本研究では、強化学習を用いて、肋骨による音響シャドウを最小限に抑えつつ、関心領域を完全に覆うようなロボット超音波スキャニングの経路を自動的に生成する手法を提案している。
まず、CT画像をもとに仮想的な環境を構築し、ロボットプローブの動きを制限された円筒座標系で表現する。次に、プローブの位置、ターゲットボリューム、および骨構造を表す3チャンネルの3D行列を状態表現として用いる。これにより、部分観測マルコフ決定過程を完全観測マルコフ決定過程に変換し、経路計画の複雑さを低減する。
報酬関数は、ターゲットボリュームの被覆率、音響減衰の最小化、および音響シャドウの回避の3つの要素から構成される。これにより、ターゲットを完全に可視化しつつ、音響特性を最適化することができる。
提案手法の有効性を検証するため、公開データセットを用いた実験を行った。その結果、小型、中型、大型のターゲットに対して、それぞれ95%、92%、81%の成功率を達成した。さらに、複数のターゲットに対しても良好な結果が得られた。
本研究は、肋間超音波スキャニングのための完全自律的なシステムの重要な一歩となる。今後は、実環境での検証や、経路計画と非剛体登録の統合などの課題に取り組む予定である。
Stats
ターゲットボリュームの95%以上を80ステップ以内にカバーできた。
ターゲットとプローブの平均距離は36.6mm、36.8mm、37.3mmであった。
ターゲットボリュームの平均非シャドウ領域は95.6%、95.2%、95.0%であった。