Core Concepts
TRACは、分散アプリケーションの調整を支援するツールである。有限状態機械(FSM)を使ってコーディネーションプロトコルを仕様化し、データ変数の更新と参加者の役割を明示的に表現できる。TRACは、このようなデータ対応型FSM(DAFSM)の適切性を検証する。
Abstract
本論文では、TRACというツールを提案している。TRACは、分散アプリケーションの調整を支援するためのツールである。
TRACでは、有限状態機械(FSM)を使ってコーディネーションプロトコルを仕様化する。コーディネーションプロトコルは、参加者の役割と、データ変数の更新を明示的に表現できる。
具体的には、DAFSMと呼ばれるモデルを使う。DAFSMは、以下の特徴を持つ:
遷移ラベルにはホアートリプルのような形式を取り、ガードと代入を表現できる。
参加者を明示的に表現できる。参加者は役割を持ち、実行時に動的に参加できる。
適切性の条件(閉じ性、役割の空虚性の排除、一意性)を定義し、それを検証できる。
TRACは、この適切性検証を自動的に行う。また、スマートコントラクトの例を用いて、TRACの適用可能性を示している。
さらに、ランダムに生成したDAFSMを用いて、TRACの性能評価を行っている。その結果、TRACの主要コンポーネントの実行時間は、DAFSMのサイズに概ね線形に依存することが分かった。
Stats
状態数が10、20、30の間のDAFSMを生成し、遷移数を5の倍数になるように調整した。
参加者数は2~10の間のランダムな値、関数数は10~20の間のランダムな値、データ変数数は50のランダムな値とした。
生成したDAFSMに対して、TRACの主要コンポーネントの実行時間を測定した。