Core Concepts
鳥類の呼吸器系の一部である副胸筋囊が、滑空飛行に適応的な役割を果たしている。
Abstract
本研究は、鳥類の呼吸器系の一部である副胸筋囊(SPD)が、滑空飛行に適応的な役割を果たしていることを明らかにした。
まず、68種の鳥類の呼吸器系を調査した結果、SPDは滑空飛行を行う種類にほぼ全て見られたが、非滑空飛行の種類には見られなかった。これは、SPDが少なくとも7回独立に進化したことを示している。
次に、ハリスホークとスワインソンホークを用いた実験から、以下のことが明らかになった:
SPDは換気に不可欠ではない
SPDが膨らむことで大胸筋の力点が増大する
滑空飛行鳥類の大胸筋線維は非滑空飛行鳥類に比べて有意に短い
このように、SPDによる大胸筋のレバー比の増大と筋線維の短縮化が、滑空飛行に適した等尺性収縮を可能にしていると考えられる。
この発見は、呼吸器系が飛行メカニクスに関与し、鳥類の飛翔進化に影響を与えていることを示している。また、肺囊には未発見の二次的機能が存在する可能性を示唆している。
Stats
滑空飛行鳥類の68種中、67種にSPDが見られた。
滑空飛行鳥類のSPDは、少なくとも7回独立に進化した。
ハリスホークとスワインソンホークのSPDは換気に不可欠ではなかった。
滑空飛行鳥類の大胸筋線維は非滑空飛行鳥類に比べて有意に短かった。
Quotes
「SPDが膨らむことで大胸筋の力点が増大する」
「滑空飛行鳥類の大胸筋線維は非滑空飛行鳥類に比べて有意に短い」