核心概念
本論文では、高コントラストの多孔質媒体におけるダルシー流れを解くための効率的なマルチグリッド前処理子を提案する。前処理子の核心は、ネストされた部分空間WL ⊂WL−1 ⊂· · · ⊂W1 = Whを構築することである。適切な固有値問題をWi−1の空間で定義し、その固有関数を用いてWiを形成する。
要約
本論文では、高コントラストの多孔質媒体におけるダルシー流れを解くための効率的なマルチグリッド前処理子を提案している。
前処理子の構築には以下の手順を踏む:
階層的な格子Tl (l = 0, ..., L−1)を定義し、最細格子Thに対応する多孔質媒体の透過率Kを与える。
各粗い格子要素Kic ∈Tcに対して、局所的な固有値問題を解き、その固有ベクトorを用いて粗い空間Wcを構築する。
さらに、各粗い格子要素Kicc ∈Tccに対して、Wcの制限上の固有値問題を解き、その固有ベクトorを用いて更に粗い空間Wccを構築する。
構築した空間Wcc ⊂Wc ⊂Whに基づいて、3グリッド法による前処理子を定義する。
提案手法の理論解析と数値実験を行っている。特に、高コントラストの透過率場に対する頑健性、強スケーラビリティ、弱スケーラビリティなどを検証している。また、二相流ベンチマーク問題への適用も示している。
統計
高コントラストの透過率場の最大値と最小値の比が非常に大きい(最大で106倍)。