核心概念
腎生検は腎疾患診断の金標準であるが、病理医による半定量的な病変スコアリングには観察者間変動が高い。解剖学的構造内の病変自動分類は定量分析の意思決定支援と観察者間変動の低減に役立つ。しかし、関心領域(ROI)内の密集した多クラス・多スケールオブジェクトの分類は臨床的に課題がある。本研究は、大規模・多様な病変を効率的かつ一般的に処理するための技術的ソリューションを提案する。
要約
本研究は、腎生検の密集したROI内の解剖学的構造(糸球体、尿細管、動脈)の自動分類に取り組んでいる。
- 密集インスタンスセグメンテーションと病変分類の2つのサブネットワークから成る一般化されたシステムを提案
- 密集インスタンスセグメンテーションモデル「DiffRegFormer」を開発
- 拡散モデル、トランスフォーマー、RCNNを組み合わせ、単一のNVIDIA GeForce RTX 3090 GPUで500以上のオブジェクトを効率的に認識
- 303個のROI(148枚のJones銀染色腎WSI)で、検出AP 52.1%、セグメンテーションAP 46.8%を達成
- PAS染色WSIにも直接適用可能
- 病変分類サブネットワークは、解剖学的構造ごとに独立したヘッドを持ち、病変組み合わせの変化にも柔軟に対応可能
統計
腎生検ROIには最大1000個もの密集したオブジェクトが含まれる
解剖学的構造の面積比は健常時でも病的時でも大きく偏っている(尿細管間質領域が70%以上を占める)
最大の動脈は最小の動脈の100倍以上の大きさがある
引用
"腎生検は腎疾患診断の金標準であるが、病理医による半定量的な病変スコアリングには観察者間変動が高い。"
"解剖学的構造内の病変自動分類は定量分析の意思決定支援と観察者間変動の低減に役立つ。"
"密集したROI内の多クラス・多スケールオブジェクトの分類は臨床的に課題がある。"