本論文では、クロスディレクショナルシステムの閉ループ感度を同定する新しい手法を提案している。クロスディレクショナルシステムは、多入力多出力で条件数が大きいため、従来の手法では感度を正確に推定するのが困難であった。
提案手法では以下の特徴がある:
モーダル変換を用いて系を単入力単出力システムに分解する。これにより、大規模システムでも感度を効率的に同定できる。
参照信号をモード毎に最適に設計する。これにより、システムの強い方向性を考慮でき、推定精度を高められる。
参照信号の振幅に関する下限と上限を導出する。これにより、推定誤差を所望の範囲に抑えつつ、入出力制約も満たすことができる。
シミュレーションでは、実際のダイアモンド光源の電子ビーム安定化システムのパラメータを用いて評価を行った。その結果、提案手法により感度を精度良く推定できることを示した。
本手法は、ペーパーメーキング、鋼材圧延、バッテリー製造プロセスなど、他のクロスディレクショナルシステムにも適用可能である。
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