本研究では、ヒトの前頭皮質と島皮質の神経活動を記録し、報酬と罰の学習に関する神経相互作用を明らかにした。
まず、各領域では報酬予測誤差(RPE)と罰予測誤差(PPE)に対する混合的な神経表現が観察された。しかし、領域間の相互作用を分析したところ、2つの明確に区別された学習サブシステムが存在することが明らかになった。
1つ目のサブシステムは、腹内側前頭前皮質と外側眼窩前頭前皮質の間の冗長な相互作用によって報酬学習を担っていた。腹内側前頭前皮質がこのサブシステムのドライバー役を果たしていた。
2つ目のサブシステムは、島皮質と背外側前頭前皮質の間の冗長な相互作用によって罰の学習を担っていた。島皮質がこのサブシステムのドライバー役を果たしていた。
最後に、報酬と罰の学習の切り替えには、これら2つのサブシステム間の相乗的な相互作用が関与していることが示された。特に、背外側前頭前皮質と腹内側前頭前皮質の間の相乗的な相互作用が重要な役割を果たしていた。
以上の結果は、前頭皮質と島皮質の分散的な神経表現と相互作用によって、報酬と罰の学習が支えられていることを示唆している。
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