核心概念
多変量時系列の複雑な相関関係を明示的にモデル化するため、正規直交関数基底空間を拡張し、チャンネル間の依存関係を重み付き係数で表現するPolyMambaを提案した。
要約
本論文では、多変量時系列(MTS)タスクのための新しい状態空間モデル(SSM)であるPoly-Mambaを提案した。従来のSSMモデルは、チャンネル間の複雑な相関関係であるチャンネル依存性の時間変化(CDT)をうまくモデル化できていなかった。
Poly-Mambaでは、以下の3つの手法を提案することで、CDTをより効果的にモデル化している:
- 多変量直交多項式近似(MOPA): 正規直交関数基底空間を拡張し、チャンネル間の依存関係を重み付き係数で表現する。
- 線形チャンネルミキシング(LCM): チャンネル間の単純な線形相関を学習する。
- オーダーコンバイニング: 各チャンネルの低次のトレンド情報を保持しつつ、適応的にCDTパターンを生成する。
これらの手法を組み合わせたPoly-Mambaは、6つの実データセットで最先端の予測性能を示した。特に、チャンネル数が多く、複雑な相関関係を持つデータセットで優れた結果を得た。また、視覚分析により、提案手法がCDTパターンを適切にモデル化できていることを確認した。
統計
多変量時系列データにおいて、チャンネル'rain'と'raining'の間には強い線形相関がある。
ETTh2データセットでは、MOPAによりチャンネル'MULL'と'LUFL'の高次の係数が相対的に増加し、チャンネル'OT'の係数が混合項を含むように変化した。これにより、線形関係以外の複雑な相関関係がモデル化されている。