核心概念
初級力学の授業資料に色分けを用いることで、学生の学習認識、特に変数の意味理解、表現の関連付け、情報の整理に良い影響を与えることがわかった。
要約
本論文は、初級力学の授業資料に色分けを用いることで、学生の学習認識にどのような影響を与えるかを調査したものである。
研究目的
本研究は、色分けされた講義資料を用いることで、初級力学の学生の学習認識に影響を与えるかどうか、また影響を与える場合、どのような理由でその影響が認識されるかを調査することを目的とした。
方法
米国の南東部の州立大学で、微積分ベースの初級力学の授業において、色分けを用いた講義資料を用いて、2学期にわたり約50名の学生を対象に調査を実施した。色分けは、関連情報を表現間で識別し、表現内の異なる情報を区別するために、以下の3つのスキームで体系的に使用された。
- スキーム1:「方程式と定義」 - 各物理量に対して異なる色を使用し、言語による定義内の単語と数学的定義内の対応する変数に同じ色を使用する。
- スキーム2:「方程式と図」 - 各物理量に対して異なる色を使用し、方程式内の変数と図の対応する部分に同じ色を使用する。
- スキーム3:「2次元シナリオ」 - ベクトル分解が必要な2次元シナリオでは、x成分、y成分、および成分方程式間で共有されるものに対して、図と数学的表現または解答例問題の両方で、それぞれ異なる色を使用する。
学生の認識を調査するために、学期を通して9つのアンケート調査を実施した。質問は、授業の構成要素のどれが役に立ったかを開かれた質問から、授業資料、色の使用全般、そしてセクションIIで説明した3つのスキームの文脈における色の使用へと、徐々に焦点を絞っていくものであった。
結果
- 学生は概ね色分けの使用に対して好意的な意見を持っており、否定的な意見はわずかであり、実施方法を少し修正することで対処できるものであった。
- 色分けスキームを明示的に指摘しなくても、色を役立つと回答した学生のうち、少数ではあるが一貫して一定の割合で、実施された色分けスキームについて記述しており、約4分の1が、色分けについて記述していなくても、物理の文脈における色の使用が役立つと記述していた。
- 学生は特に、数学における色の使用と、関連する変数、言語による定義、図の要素を識別するために使用される色分けを好んでいた。
- 平均して40%の学生が、関連情報の照合と接続、または異なる情報の分離と区別において、色が役立つと回答しており、これが色分けスキームを採用した動機付けとなった。
結論
本研究の結果から、美的目的だけでなく、より深く考えられた色の使用は価値のある実践であると結論づけられる。教員は、異なる表現を結びつけるために戦略的に色を使用すること、そして図やその他の視覚要素に色を限定するのではなく、数式に色を使用することを検討すべきである。一貫した色分けスキームは自明であるべきだが、色の使用に注意を向けることで、より大きな効果が得られる可能性がある。
今後の研究
- 色分けスキームの長期的な影響に関する調査
- 色分けスキームの最適な数と種類の色の組み合わせに関する調査
- 色覚障碍を持つ学生への影響に関する調査
統計
学生の75.3%が、色分けの使用について肯定的な意見を持っている。
学生の約16%が、色分けスキームを認識し、明確に説明することができ、学習に役立つと回答している。
学生の約27%が、色分けについて記述していなくても、物理の文脈における色の使用が役立つと回答している。
学生の平均40%が、関連情報の照合と接続、または異なる情報の分離と区別において、色が役立つと回答している。
引用
"It also really helps when, within explanations of equations, the color of the variable in the equations correspond with the words that define them in the equation explanations."
"I like the use of colors in the [slides]. It makes it easier to see what pieces of an equation correspond to the diagram or given information."