Core Concepts
代数暗号解析において、多項式方程式系を解くための攻撃の複雑性を見積もる際、正則度と第一降下度の上界が重要な指標として用いられる。正則度は半正則仮定の下で簡単に計算できるが、第一降下度を決定するには具体的な方程式系の syzygy を調べる必要がある。本論文では、十分に大きな有限体上の多項式系に対する第一降下度の上界を明らかにする。特に、非半正則系の第一降下度は正則度以下であり、多重グレード多項式系の第一降下度は特定の多変数形式的冪級数から決まる値以下であることを示す。さらに、有限体上の多項式系の第一降下度を計算するための理論的前提を提供する。
Abstract
本論文では、代数暗号解析における多項式方程式系の解法の複雑性を見積もるための理論的ツールについて検討している。
まず、正則度と第一降下度の関係について、以下のような結果を示す:
- 非半正則系の第一降下度は正則度以下である。
- 十分に大きな有限体上の多項式系の第一降下度は、ある単変数形式的冪級数から決まる値以下である。
- 上記2.の条件を満たす場合、半正則系の第一降下度は正則度と一致する。
次に、これらの結果を多重グレード多項式系に自然に拡張する。具体的には、
- 十分に大きな有限体上の多重グレード多項式系の第一降下度は、ある多変数形式的冪級数から決まる値以下である。
- 上記4.の条件を満たす場合、多重グレード多項式系の第一降下度と Koszul syzygies の最小次数は、その多変数冪級数から決まる値以下である。
これらの結果は、実際の暗号解析手法における第一降下度の利用を理論的に保証するものである。
最後に、多重グレード XL アルゴリズムの理論的前提を与え、その複雑性を上記の多変数冪級数で見積もれることを示す。
Stats
多項式系の変数数 n は、攻撃の複雑性に影響する。
多項式の次数 d は、攻撃の複雑性に影響する。
多重グレード多項式系の各変数群のサイズ ni は、攻撃の複雑性に影響する。
Quotes
"代数暗号解析において、多項式方程式系を解くための攻撃の複雑性を見積もる際、正則度と第一降下度の上界が重要な指標として用いられる。"
"特に、非半正則系の第一降下度は正則度以下であり、多重グレード多項式系の第一降下度は特定の多変数形式的冪級数から決まる値以下である。"
"これらの結果は、実際の暗号解析手法における第一降下度の利用を理論的に保証するものである。"